【実践CS】経験ゼロでも大丈夫!お客様の心を掴む「聞く力」と「共感」の磨き方
お客様の「聞く力」と「共感力」を高めて信頼を築く実践ガイド
CS部門に配属されたばかりで、お客様とのコミュニケーションに不安を感じていらっしゃる方は少なくないでしょう。特に、「お客様が本当に何を求めているのか理解できているだろうか」「どのように接すれば信頼してもらえるのだろうか」といった疑問は、多くの方が抱えるものです。高額な研修やツールに頼らずとも、日々の業務の中で「聞く力(傾聴)」と「共感力」を磨くことは十分に可能です。
本記事では、少人数・低予算でも実践できる、お客様の心を掴むための傾聴と共感の具体的な方法を解説します。基本的なことから丁寧に、すぐに試せる実践的なステップをご紹介しますので、自信を持ってCS業務に取り組むための一助となれば幸いです。
1. お客様の真意を引き出す「傾聴」の基本
お客様からの問い合わせは、単に情報提供を求めるだけでなく、その背景にある感情や状況が隠されていることがよくあります。お客様の真意を理解し、適切な対応をするためには「傾聴」が欠かせません。傾聴とは、単に耳を傾けるだけでなく、お客様の話に意識を集中し、その言葉の裏にある感情やニーズまで理解しようと努めるコミュニケーションスキルです。
1-1. 傾聴の3つのステップ
お客様との会話で傾聴を実践するための具体的なステップをご紹介します。これらは特別なツールを必要とせず、意識を変えるだけで実践できます。
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受容的な姿勢で臨む:
- お客様の話を遮らず、まずは最後まで聞く姿勢が大切です。先入観を持たず、相手の言葉をそのまま受け止めようと意識します。
- 実践のヒント: 電話であればメモを取りながら、チャットやメールであれば落ち着いて読み込む時間を意識的に確保しましょう。
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非言語的要素に注意を払う:
- 電話であれば声のトーンや話すスピード、対面であれば表情や身振り手振りなども重要な情報源です。これらの非言語的要素から、お客様の感情や緊急度を推し量ることができます。
- 実践のヒント: 相手が焦っている様子であれば、ゆったりとしたトーンで話すなど、自身の対応を調整してみましょう。
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アクティブリスニングを実践する:
- これは傾聴の核となる部分です。お客様が話した内容を理解し、共感していることを示すための能動的な聞き方です。
- 相槌やうなずき: 「はい」「なるほど」「おっしゃる通りです」といった言葉や、適度な間隔でのうなずき(対面の場合)で、聞いていることを示します。
- オウム返し(繰り返し): お客様の言葉の一部を繰り返すことで、「私はあなたの話をきちんと聞いています」というメッセージを伝えます。
- 例: お客様「アプリの起動が遅くて困っています。」
- CS「アプリの起動が遅い件でいらっしゃいますね。」
- 要約と確認: 話が一区切りついたところで、お客様が言いたかったことや伝えたい感情を要約し、認識に間違いがないかを確認します。
- 例: お客様「つまり、〇〇で〇〇という状況で、対応が遅れていることにご不満をお持ちということでしょうか。」
- CS「お話しくださった内容をまとめますと、〇〇という状況で〇〇という点にお困りという認識で相違ないでしょうか。」
- 質問: 状況をより深く理解するために、具体的な情報を引き出す質問をします。ただし、質問攻めにならないよう、聞くことに主軸を置きましょう。
- 例: 「具体的にどのような状況で発生しましたか」「以前も同様のことがございましたか」
- これは傾聴の核となる部分です。お客様が話した内容を理解し、共感していることを示すための能動的な聞き方です。
1-2. 傾聴を磨くための無料・安価な練習方法
- 日々の会話で意識する: 同僚や友人との会話で、アクティブリスニングのテクニックを試してみましょう。相手の話を遮らず、要約や質問を挟む練習です。
- 簡易的なメモ活用: お客様との会話中に気づいたこと、お客様の感情を示す言葉などをメモに残し、後で振り返ることで、自身の傾聴度合いを客観視できます。
- セルフチェックシート: 傾聴のポイント(相槌を打てたか、要約できたかなど)を簡単にまとめたチェックシートを自分用に作成し、対応後に自己評価する習慣をつけましょう。
2. お客様に寄り添う「共感」の示し方
傾聴によってお客様の真意を理解したら、次はその理解を示し、感情に寄り添う「共感」が重要です。共感は、お客様に安心感を与え、信頼関係を深める上で不可欠な要素です。
2-1. 共感を示す具体的なフレーズと行動
共感を言葉で表現する際の具体的なフレーズをご紹介します。
- 感情を言語化する:
- 「それはご不便でしたでしょう」「お困りのことと存じます」
- 「ご心配でいらっしゃいますね」「ごもっともでございます」
- 「大変心苦しく思います」
- 寄り添う姿勢を示す:
- 「状況、よく理解できました」
- 「私どもも改善に努めてまいります」
- 「すぐに確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか」
- 謝罪と感謝のバランス:
- 問題が発生した場合は、まずは「ご迷惑をおかけし申し訳ございません」と謝罪し、その後で「貴重なご意見ありがとうございます」と感謝を伝えることで、より丁寧な印象を与えます。
2-2. 避けるべき共感表現
- 安易な同調: 「それはひどいですね」「私もそう思います」といった個人的な意見や感情の露骨な表明は、プロとしての冷静さを欠くと受け取られる可能性があります。
- 感情の否定: 「そんなに怒ることではありませんよ」「気にしすぎですよ」といった、お客様の感情を否定するような言葉は絶対に避けましょう。
- 他人事のような発言: 「担当部署に伝えておきます」だけでなく、「担当部署と連携し、早急に対応いたします」といった、自身も解決にコミットする姿勢を示しましょう。
2-3. 共感力を高めるための実践方法
- ロールプレイング: 同僚とお客様とCS担当者という役割を交互に演じ、共感を示すフレーズや態度を練習しましょう。お互いにフィードバックし合うことで、客観的な気づきが得られます。
- ポジティブな感情の言葉の引き出し: 日常的に、様々な感情を表す言葉を意識的に増やし、お客様の感情を正確に表現できるように語彙力を高めましょう。
- お客様視点の想像: お客様が「なぜそう感じるのか」「何に困っているのか」を、自身の経験や知識と照らし合わせて具体的に想像する練習をします。
3. 少人数・低予算でCSスキルを向上させるヒント
傾聴力と共感力は、日々の意識と工夫によって着実に向上させることができます。高額な投資は必要ありません。
- 業務日誌の活用: その日のお客様対応で特に印象に残った会話や、対応が難しかったケース、成功体験などを簡単に記録しましょう。どのような言葉遣いが効果的だったか、逆にもっとこうすればよかったという反省点を振り返ることで、次へと活かせます。
- 無料のテキストエディタやメモアプリ: お客様からの問い合わせ内容や回答履歴を、タグ付けして管理したり、対応時の気づきを記録したりするのに活用できます。これにより、過去の対応を参考にしやすくなり、対応品質の均一化にも繋がります。
- チーム内での情報共有: 成功事例や難しかったケースについて、チーム内で気軽に共有し、アドバイスを求めたり、他のメンバーの対応例から学んだりする機会を設けましょう。週に一度の短いミーティングでも効果的です。
- 自己学習の継続: 関連書籍を読んだり、ウェブ上の無料記事や動画コンテンツを活用したりして、CSやコミュニケーションに関する知識を継続的にインプットしましょう。
まとめ
お客様の真意を理解し、信頼関係を築く「聞く力」と「共感」は、CS担当者として最も基本的ながら、極めて重要なスキルです。特別な設備や高額な費用をかけずとも、日々の業務の中で意識的に実践し、継続的に振り返ることで、着実にこれらの力を磨くことができます。
この記事でご紹介した傾聴のステップや共感のフレーズ、そして低予算でできる実践的なヒントを参考に、ぜひ今日からお客様とのコミュニケーションに活かしてみてください。お客様との信頼関係が深まるにつれて、CS業務のやりがいも一層大きくなることでしょう。焦らず、一歩ずつ、自信を持ってお客様に寄り添うCSを目指しましょう。